正義の行為者
正義の行為者は誰か。
正義論という分野の中で注目される一つの視点である。
ロールズ、アマルティア・セン、ヌスバウムなどの論者がこれまでの正義論を論じてきた。
正義の行為者とは道徳的であることも必要ながら、現在の社会構造において権力を有しうる者がなるべきだろう。
では現在の社会構造において誰が権力を行使しうるのだろうか。
それは、簡単にいうと金持ちな人である。
世界システム論という考え方によるとヘゲモニー国家の衰退の原因、もしくはヘゲモニー国家になり損ねる原因は資金繰りの悪化なのだそうだ。
食料から燃料、貴金属、ありとあらゆるものが先物取引としてマネーゲームの対象になっている。こうしたマネーゲームは世界において深刻な食料の偏在を引き起こし、格差をこの上ないほど拡大させている。
そうしたマネーゲームの主役たる人びとは資産家であり、簡単にいうと金持ちなのだ。
だから、こうした世の中だからこそ、金持ちが正義の行為者としてその権力を正しい方向に使わなくてはならない。
シェフィールド大学の設備は非常に充実しているし、24時間オープンの図書館、自習棟など知っているうちでも3棟は24時間営業がされている。
こうした設備の運営費はもちろん学生の授業料等からの収入(留学生が多いことを鑑みれば授業料だけでも相当の収入があると考えられる。一般に留学生の授業料は一般の学生よりも高い。)もあるが、卒業生からの寄付金も多分に貢献している。
西洋的な価値観かもしれないが、ノブレスオブリージュという特権階級の社会貢献が道徳的に義務化している。
日本は基本的に寄付をしにくい社会である。(クラウドファンディングも仕組み上は寄付や制限のない投資ではなく、物品の購入という体裁をとっている。)
また、寄付をするにしてもそれは税金対策である場合もあり、寄付を恒常的に行う文化はない。
なぜ、日本政府がそうした寄付行為について制限をするのかは疑問であるが、正義の行為者として日本の立て直しのために身銭を切ってもらいたいものである。
あなたが稼いだ金はあなただけの力ではないのだ。